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平成24年度 都市計画学会北海道支部の活動計画

支部長  小林英嗣
副支部長 田村 亨

1.現状認識

 わが国は、経済の停滞と財政制約、環境制約、東アジアの経済的台頭という状況の中で、かつて経験したことのない継続的な人口減少と急速な少子高齢化の時代を迎えている。これに呼応して、都市計画学も時代の転換期を迎え、自ら変革と飛躍を遂げることが求められている。そもそも、日本都市計画学会(昭和26年創立)は、「都市計画に関する学術の進歩普及を図り、もって学術・文化の発展に寄与すること」を目的として、会員の学術研究成果の発表、知識の交換、会員相互および関連学協会とのコミュニケーション、研究・調査の実施、諸外国との国際交流等様々な活動を行うとされている。我々は、今日の課題に鑑みて、都市計画学というアイデンティティを再確認し、目指すべき自画像を探求し、必要であれば変身をもいとわずに、成長することが要請されている。
 ところで、北海道の都市計画の特徴は、@「一体としての都市」が広域にわたること、A市街化区域内に居住地が納まっていること、B積雪寒冷地にあること、B豊な自然環境・景観を有していること、C歴史・習慣に依存しない先取り感覚があること、D地域住民に公共依存体質が強いことなどであり、これらの特徴を活かした都市計画・まちづくりが求められる。
 また、2011年3月11日に発生した「東日本大震災」は、岩手県・宮城県・福島県の太平洋側を中心に未曾有の大災害(地震・津波・原発被災)をもたらした。北海道においても、安全・安心の想定リスク、災害復旧を考えた分散・自立型の生活生産拠点、温暖化対策として原発推進が難しい中での低炭素化戦略の再構築、などが求められよう。



2.北海道支部の活動方針

 「時代が変わる」ことに対応して、北海道から「社会やまちづくりの発想を変える」気概が重要であり、支部活動をはじめるに当たり新機軸を打ち出すことが必要ではないか。例えば、「政策科学としての都市計画学のフロンティアを拡げる」ことや、「実社会とコミュニケーションし、フィールドで行動する都市計画学へ転換する」ことである。
 活動方針(案)として、以下が挙げられよう。

活動方針

方針 1: 社会的プレゼンスの獲得
 都市計画学研究の主要な目的が、都市計画に関する学術の進歩普及を図り、もって学術・文化の発展に寄与することにあるとするのでれば、これまで以上の社会的実践が求められ、このことが社会的プレゼンスの獲得につながるはずである。また、国内他分野だけでなく、国際的な研究交流や情報・意見交換のネットワーク拡大の必要性は論をまたない。関連する多くの学会との連携をさらに強化するとともに、多くの研究者・実務者が来日されているので、この機会を捉えて国際セミナーを開催してはどうか。

方針 2: コミュニケーションの場の確保
 約130名の支部会員が、「都市計画とは何か」「まちづくりとは何か」という基本的な問いかけを繰り返し、自己の社会活動との関係を各自が問い続ける場を用意することである。

方針 3: 個々の研究者による研究の追求が基本
 学会としては研究者、あるいは研究グループの活動支援を中心に考えたい。これらは、主として意見と情報交換の場の提供であり、具体的には、研究発表会における企画セッションの充実などである。

方針 4:「都市」「農村」「漁村」が共生融合する北海道の地域的特性を踏まえた新たな都市計画理論の構築とその実践

 上記の方針1と方針2に関しては、北海道支部の立ち上げ期における具体的な活動として、平成23年度から平成28年度の6年間を一区切に、以下のような段階的構築を考えては如何か。
 また、方針3,方針4については、「土木」「建築」「造園」の学術的分野の融合を図りつつも、まちづくり・交通・ランドスケ−プ・環境・災害などの個別テ−マ毎に、6年間の活動目標を決めて研鑽する方法が優れていると考えられる(いくつかの分野の事例については、別紙に示す)。
 さらに、東日本大震災対応については、北海道の安全・安心基準の見直しなども必要なことから、本部、他支部との連携を図り検討する。

北海道支部の立ち上げ期における具体的な活動
T期 アイデンティティの分析  平成23年度から平成24年度 2年間
U期 パースペクティブの分析  平成25年度から平成26年度 2年間
V期 成果の共有        平成27年度から平成28年度 2年間

T期 アイデンティティの分析(北海道支部の「かたち・ひと」づくり)  
@ 支部発表会の開催とシンポジュウム・フォーラムの開催
A 「よりよい社会とは」というビジョン(閉塞感からの脱出)
B 担い手の育成
C 周辺学問領域との競争・連携・融合
   
U期 パースペクティブの分析(北海道支部の展望づくり) 
@ リーダーヒアリング; 北海道の都市計画に期待すること
A 議論; 学会における支部の位置づけ、周辺分野・社会科学系の実学との関係
B 座談会

V期 成果の共有(北海道支部の自立)
@ 支部発表会の開催とシンポジュウム・フォーラムの開催(再掲)
A 「北海道研究」を論文へ投稿(国際を含めて)
B 北海道からの都市計画、まちづくりの実践を発信



3. おわりに
 130年余の歴史しか持たない北海道民の行動は、遺伝子に組み込まれた特別な価値観に基づくものではなく、社会的歴史的な環境の変化に応じて当然変わって行くものであり、都市計画やまちづくりにおいては、それをリ−ドして行く支部会員一人ひとりの気概が大切である。     
                                      以上


これからの都市計画学会北海道支部活動について
支部長覚書 
小林英嗣(120420)


認識@:都市計画学会(北海道支部)の社会的なプレゼンスは弱い。
    プレゼンスの柱は「スキル(技術)」「ノレッジ(知識)」「アティテュード(態度)」
    向上は発信と交流

認識A:都市計画学会北海道支部会員は土木・建築・造園系の研究者のみではなく、民間コンサル、行政などで構成。(ただし、上記三系での学・民・官のバランスは異なる)。研究者(組織)・民間・行政の活動目標・内容・計画の自由度を担保し交流促進

認識B:他の学協会(支部)との連携:都市や地域の計画、都市・地域の計画行政に関連する学会は他にも存在。

認識C:地方分権、地域主権という大きなウネリの中、北海道および市町村の都市計画力(まちづくり力)は全国市町村のなかでも低位

認識D:「‘大きい政府’に代わる‘大きな社会’」による、「‘任せる地域づくり’から‘引き受ける地域づくり’への移行」

認識E: 都市計画法制度の抜本的改正などの議論をきっかけに、地域・文化のローカルな必然性に基づき、都市・農村を包括的に捉えた、個性的でグローバルな多様な地域の再生像と具現化の支援

認識F:‘三つの共生’が、支部・支部会員の活動の理念と目標に必要・不可欠。
・‘自然共生’・・・・人間存在の持続可能性の基本は−生命・生物的自然との共生―。
 無機的な人口環境都市に生物的自然の豊かさを取り戻し、生物の多様性を再生。
・‘環境共生’・・・・循環型社会や低炭素型社会を目指し、生物的自然以外の環境や
 エネルギーなどの物質的自然との共生。
・‘地域共生’・・・・地方の都市や地域では‘自然共生’‘環境共生’だけでは不十分。
 都市と農山漁村、都心と郊外の交流・連携・共生した、サスティナブルなエリアマネジメント。

認識G:「生成り散居型コンパクト・リージョン」(都市計画275)
      離散性と自然融合性が確保された「散居型コンパクト・リージョン」の三つの成立条件
・‘第三の自然として回復され、連続性と質が担保された公共空間’
・‘高度に複合・混成化された生活支援施設の拠点的配備’
・‘適切なヒューマンスケールの交通網のしつらえ’

認識H: 学会活動には、調査・研究に加えて、社会貢献(発言と行動)への意識は極めて重要。分権社会での地域共生都市実現のための社会システム(マネジメント・システム)の構築・実践への積極的な提言と行動。

認識I: 都市計画学会北海道支部の活動は研究に偏るのではなく、横断的・総合的な視座から、都市そして農村を含み、広く北海道(くわえて東北新支部とも連携しつつ)地域へ、中立的視点から、社会的メッセージ・提言・提案等を適切に発信・共有化。


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